試練は続く

またまたやってしまった。
12月7日、寒波襲来のさなか御在所岳の頂上で凍結した路面で転倒した。
転んだ瞬間、目から火花が散り、あまりの痛さにあぶら汗が滲んだ。
う〜む、立ち上がれない。
これはただごとではない。
もうマラソンを走れる体には戻らないかも知れない、という思いが頭をよぎった。案の定、診断の結果は骨盤骨折だった。
マラソンをするようになって4回目のケガだ。
我ながら情けない思いでいっぱいだ。
高齢者が転倒してそのまま寝たきりになる話はよく聞くが、他人事ではない。
頭はしっかりしていても体の自由が利かないのは歯がゆい限りだ。

一昨年の左ふくらはぎの肉離れ、今年4月の腓骨神経麻痺。
7月のジョギング中に転倒して救急車で搬送されたときも 「ああ〜、これで終わりか」と思ったが、しぶとく回復していたのに……。

12月9日には奈良マラソンを走って復活するつもりだったが、残念無念!

いま、左右両側に松葉杖をついて歩いているのだが、これが意外に難しい。
私は松葉杖を使うのは自慢じゃないが、これで3回目だ。
松葉杖を使うのは見ていると簡単そうに見えるが、自分でやってみると難しいし、ものすごく疲れるのだ。

風呂に入るのもトイレに行くのも決死の覚悟だ。
特に階段の上り下りには恐怖を感じる。
健常者でいるうちは何も感じなかったが、階段には手すりが必要だし、段差も困る。

そもそもなぜ御在所岳に行ったかというと御在所岳の麓に片岡温泉という温泉があるのだが、うちのカミさんと二人で、その温泉に浸かりに行こうというのが発端だった。
片岡温泉はいまではアクアイグニスという複合温泉リゾート施設にリニューアルされた。
パティシエ辻口博啓とイタリアンシェフ奥田政行の有名シェフが店を構えるようになったので大賑わいだ。
土曜日、日曜日は混雑しているので金曜日に行こうとしたわけだ。
週休三日のおかげである。

片岡温泉はリニューアル前はひなびた温泉で湯の山温泉の陰に隠れて知る人も少なかったが、私たち夫婦は片岡温泉のファンだった。
ここの温泉に浸かると体の芯からポカポカして疲れがとれる、いい湯なのだ。

てなわけで片岡温泉に浸かってのんびりしておけばよかったものを御在所の頂上まで行ったのでえらい目に遭ってしまった。

今年はケガにつきまとわれた。
それも、もう再起不能かと思うようなケガを繰り返した。
これは何かの予兆だろうか?

幸せは不幸な顔をしてやってくる、と言うが、この度重なるケガは私に何を教えようとしているのだろうか。

ケガをしたときは、うちのカミさんがいつも付き添ってくれていた。
カミさんがいたからこそ、私は廃人にならずにすんでいる。
「そんなカミさんに感謝しろよ」という意味なんだろう。
本当はいくら感謝してもし足りないほど感謝しているのだが、口に出してこなかった。
すまん。
それと健康で普通の生活ができることが、いかに幸せなことかと思い知らされた一年だった。