相続税の税務調査の現場は奥さんの独壇場

相続税の税務調査を何度も受けたことがあるというベテランの納税者はいない。
生まれて初めて税務調査を受ける人がほとんどだ。
だから、実際に臨宅調査(自宅に税務署員が来て 調査をすること)となれば皆さん緊張される。
当然のことだ。

しかし、最近の税務署員はとてもフレンドリーな者が多く威圧感がまるでない。
そして皆、一様に雑談好きだ。
たまたま話が断食やマラソンの話になるとしっかり食いついて来る。
いつまでも食いついて来るので、こうなったら本来の調査をする時間を短くしてやれ、という魂胆で、こちらもいつまでも話し続けていると、結局は終了時間が遅くなるだけなのだ。
だから最近はこちらから雑談を持ちかけるのはやめにした。
結局、彼らは雑談しながらでも手を休めないという芸当(マルチタスク)ができないのだ。

相続税の調査は午前中は被相続人(亡くなった方)の経歴や趣味、人となり、などの聞き取りから始まり、一族郎党の名前、職業なども聞いてくる。
このとき頼りになるのが、相続人である長男の奥さんとか、亡くなったご主人の奥さんとか、いずれにしても女の人だ。
親戚の名前や職業などスラスラ答えられる男はまずいない。
ここらは女性の独壇場だ。
それにしてもよくご存知だ。
苦労して覚えるのではなく自然に頭に入っているのだろう。

それと家庭内でのお金の管理をしていたのもやはり女の人だ。
男は何にも分からない。
○年×月の○○円の出金は何に使われましたか?という質問にも男は何も答えられない。
「さぁ~、何だったかなぁ。死んだ親父のやったことだからなぁ」と頼りない。
このとき奥さんが「ああ、分かった、あれよ。自宅の修繕をしたじゃない」と一発回答なのだ。
「領収証とかありますか?」
「ちょっと待ってて、いま持ってくるから」と次々に調査は進んでい く。
奥さんはルンルン気分で楽しそうだ。
う~む、この家は奥さんでもっているのだなぁ。

夫婦は旦那がぼぉ~っとしていると奥さんがしっかりしている。
こういう家庭が約8割だ。
反対に奥さんがぼぉ~っとしていると旦那がしっかりしている。
夫婦とはよくしたものだ。
両方ともしっかりしている家庭はまずない。
夫婦揃って、ぼぉ~っとしている家庭はたまに ある。
以前、家族全員がぼぉ~っとしているケースに当たったことがあるが、こういう家族には癒されるが、相続税の申告は大変だったよ。