健康番組は不健康番組

最近テレビをつけると毎日のようにどこかの局で健康に関する番組をやっている。
血液をサラサラにするには◯◯を食べると良いとか、認知症を防ぐにはこういう
運動をやると良いとか、腰痛はこうして治すとか、とかとか……。
キリがない。
それにまた再現映像が迫真の演技でできている。
あれはどこかの劇団の俳優さんがやっているのだろうか。
「うっ、う~」とか唸って胸を掻きむしりバタっと倒れて、救急車で運ばれる場面の後に「あなたも放っておくと大変なことになりますよぉ~」とさんざん不安を煽る。
うちのカミさんなんかウンウンと頷きながらメモを取っている。

だいたい名医だと称して毎週のようにテレビに出てくる医者はよほどヒマな医者だ
ろ。
私はこういう医者が断片的でゴミのような医学知識を垂れ流すのは害悪だと思
う。
全てムダな情報だ。
栄養を摂らなければ、薬を飲まなければ、医者に診てもらわなければ、と強迫観念を植え付けているだけだ。

もともと私たちの体には自然治癒力が備わっている。
しかし、こういう番組では「放っておけば治る」とは絶対言わない。
なぜならそれでは誰も儲からないからだ。

こういう不健康番組を観ていると最近大流行りの「相続税セミナー」を連想する。
「あなたも放っておくと大変なことになりますよぉ~」と不安を煽るセミナーは良くない。
こういう私も各地で「相続税セミナー」の講師を頼まれることがあるので偉そうなことは言えないが、私のセミナーでの基本的なスタンスは「何もするな」だ。
私は相続税の仕事を30年以上やってきたが相続対策をしなかったからといって、
取り返しのつかない事態になったという事例を経験したことがないし、聞いたこと
もない。
それどころか何も対策を考えなかったところほど相続は円満に済んでいく。
相続税が払えないからといって首を括った人はいない。

先々のことを考えて今から手を打っておかなければ不安だという人の気持ちも分か
らないではないが、何もしなくても、なるようになるし、なるようにしかならない。
健康も人生もケ・セラ・セラだ。

未来予測

先日、NHKスペシャル(「ネクストワールド」)で「未来はどこまで予測できるか」という番組をやっていた。
今後、人工知能の驚異的な発達により、人類全ての知能を結集してもかなわないコンピュータが出現すると予測している。
コンピュータが人間の知能を凌駕する技術的特異点は2,050年までに到来するらしい。

すでに人工知能型コンピュータのIBM「ワトソン」はアメリカのクイズ番組で人間のクイズ王と対戦し優勝した。
その日本語対応版をIBMとソフトバンクが共同開発し、今年から事業展開するという。
うーむ、そのペースで行けば、弁護士や税理士などの専門家の仕事の半分は近いうちに、人工知能型コンピュータに置き換わる。
あり得る話だ。
わしら団塊の世代はそんな時代になる前に死ぬんだから、滑り込みセーフ!
「逃げ切れる」と思っているがそうはいかない。
なぜなら、今、先進国では毎日5時間ずつ寿命が延びているらしい。
そうであれば2,050年には平均寿命が100歳に達しているという。
長寿遺伝子は全部で7種類あるらしいが、その全ての長寿遺伝子を活性化する物質
(NMN)が見つかったらしい。
このNMNもまだ販売はされていないが、もう既に製造されているらしいのだ。
てことは、誘惑に負けてこのNMNを服用すればひょっとしたらわしらも100歳
まで生きてしまうかも知れぬのだ。
いやはや。
どうする?ご同輩!100歳まで生きたら……。

わしら団塊の世代は2050年頃が100歳だ。
死ぬまでやれる仕事に就いておいて「よかった。よかった」なんて喜んでいたが、
その仕事は人工知能型コンピュータに奪われ、年金は破綻してお金もなく、偏屈なだけの年寄りになったら……。どうする?
早く死んでおけばよかったなんてことも有りうる。
税金の世界でも今年の10月からマイナンバー制度の個人番号が各人に通知される。
銀行にも預金情報をマイナンバーにより検索できるように義務づけることになる。来年からは税務申告書にナンバーを記載することになるし財産も全て国家に把握されるようになるだろう。
そうなれば相続税の申告も必要ない。
固定資産税と同様に通知が来るだけだ、そして納税は預金から自動引き落としだ。
う~む、もうわしらの出る幕はないのだ。
どないしょ。
……そうだ!坊主だ!坊主という手がある。出家だ。
出家して早く悟りを得なければ。
そしてNMNを服用して、体ばかり元気でやることのない年寄りをなんとかしたらなあかんのや。