ケガの後、また走りたくなって、トレーニングを始めた。
せめて5kmくらいジョギングすることができれば……。
それに走れないときは出来るだけ歩こうと思って記録を取り始めた。
……が、しかし、けっこう面倒くさい。
そういうとき重宝しているのがiPhoneの“moves”という無料アプリだ。
iPhoneを身につけているだけでウォーキングやランニングの時間・距離・歩数を自動判別して計測してくれる。
それだけでなく何日の何時何分にどこに居たかをすべて記録しておいてくれるのだ。
ライフログというやつだ。
iPhoneを身につけているだけでよい。
計測のためにいちいちセットする必要がないのが便利だ。
私はこれを毎日、EverNoteに貼り付けて日記として活用している。
これで私のアリバイは完璧だ。
こういうものは自分が自分の意志で利用する分にはとても便利だが、国から強制的に付けさせられたら、たまったものではない。
すべての行動が監視されてしまう。
まるでジョージ・オーウェルの小説「1984年」のような世界が現実となる。
そのうちマイクロチップを体内に埋め込まれる日が来るかも知れない。
イギリスでは2016年にはすべての犬にマイクロチップ埋め込むことが義務化される。
現在でも既に6割の犬にチップが埋め込まれているらしい。
今のIT技術を馬鹿にしてはいけない。
マラソンでも今ではチップをシューズかゼッケンに付けて走り、記録が計測される。
何万人が走ろうとも、ゴールした直後にグロスタイム・ネットタイムを記載した完走証がもらえる。
さらにコースの各所で頼みもしないのに写真を撮っているので自分の勇姿(?)をネットで見ることができ、販売もしている。
ランナーの位置情報は応援者の携帯に伝送され、どこを何分で通過したかが走っている当人より詳しく分かる。
便利と言えば便利だが、あまりにも便利すぎて薄気味悪い。
てなことを考えているうちに5月24日社会保障・税共通番号法(通称マイナンバー法)が成立した。
国民一人一人に12桁の個体識別番号を付番し、社会保障や税に関する個人情報を管理する制度だ。
平成27年10月から個人番号通知カードの郵送が始まり、平成28年1月から市町村の窓口で顔写真つきのICカードが配布され、個体識別が始まる。
これで、いつの日か個人の所得状況や財産状況がお上に把握され、税務署から送られてくる申告書にはすでに金額が記入済みのものが送られてくるかも知れない。「あなたの所得は給与所得が○○○○円、株式の譲渡所得が××××円。税金が△△△△円。間違いなければ署名押印して返送してください」と。
相続税でも同じことだ。
「おまえの財産はすべてお見通しだ」 なんてことがあり得る。
そうなるとワシら税理士は失職だ。
仕方なく生活保護の申請でICカードを見せたら即「あなたの息子さんは年間○○○○円稼いでおられますよ。
息子さんに助けてもらいなさい。却下!」なんちゃって。
とほほほほ。
まともな人間はもともとアナログなのだ。
こういうデジタルな世の中でどこまで正気で居られるかだ。